AIにチャート画像を読ませる前に確かめたこと
限界は、AIを作っている側の公式ドキュメントに書いてあった
結論を先に置きます。AIはチャートの仕組みを説明する相手としてよくできていますが、画面に並んだ本数を数えたり制度の数字を言い当てたりする用途では、AI側が公開している限界のページを先に読むほうが早い。仕組みの理解はAI、事実確認は一次情報。今回はその線引きを、私が実際に開いた数字で引き直した記録です。
前に書いたチャートの読み方の記事では、ローソク足の意味から入りました。今回は逆で、棒の読み方に触れる前に、自分が見ている画面の数字そのものを確かめにいきます。
まず、いま1ドルが何円かを確かめた
チャートの縦軸は価格です。その価格が、いまどのあたりにあるのか。私はそこを一度も自分で確かめないまま、棒の形ばかり眺めていました。
欧州中央銀行が毎日公表している参照レートを引くと、2026年8月26日の1ドルは159.07円でした。私が前のチャート記事を書いた2026年7月9日は162.41円。1か月半で3.34円ぶん、縦軸が下に動いています。
同じ8月26日の1ユーロは185.62円。ドルとユーロでは、そもそも1通貨あたりの円の値が26円以上ちがいます。通貨ペアを並べて「上がった」「下がった」と話すとき、この差を頭に入れていないと話が噛み合わないんですよね。
同じ1本でも、見る時間帯でコストが19倍ちがう
スプレッドとは、買値と売値の差のことで、FXでは実質的な取引コストにあたります。チャートの形とは関係なく、開いた時計の針だけで変わる数字です。
GMOクリック証券のFXネオの手数料ページを開くと、米ドル/円の原則固定スプレッドは、午前9時から翌午前3時までが0.2銭、それ以外の時間帯が3.8銭と公表されています。19倍です。ユーロ/円は0.4銭と9.8銭で、こちらは24.5倍。ユーロ/米ドルは0.3pipsと3.8pipsでした。取引手数料そのものは0円と書かれています。
| 通貨ペア | 午前9:00〜翌午前3:00 | 左記以外の時間帯 |
|---|---|---|
| 米ドル/円 | 0.2銭 | 3.8銭 |
| ユーロ/円 | 0.4銭 | 9.8銭 |
| ユーロ/米ドル | 0.3pips | 3.8pips |
しかも「原則固定」には、はっきりした但し書きが付いています。公式の記載はこうです。「上記スプレッドは完全固定されたものではございません。市場の急変時や流動性が低下している状況、重要指標発表時間帯により、スプレッドが拡大する場合があります。」
出典:GMOクリック証券「スプレッド・取引手数料|FXネオ」。2026年8月27日に筆者が確認した記載を転記。内容は変更される場合があります。
ここが私にとっていちばん効きました。保育園児がいるので、私が画面を落ち着いて開けるのは寝かしつけが終わったあとです。その時間ならまだ0.2銭の側に入っている。外に出るのは、休日の朝に思い出してデモ口座を開いたときでした。同じ形の棒を見ていても、そのとき払うことになるコストは別の数字なんです。
この数字は各社が自社サイトで公表しているので、比べるなら二次的なまとめ記事ではなく、各社のページを直接開くのが早い。更新の日付まで見えます。
ちなみに国内の店頭FXは、2026年7月の1か月だけで出来高が8,820,768億円ありました。数字を報告している業者は46社。同じ通貨ペアでも、条件を出しているのはこれだけの数の会社です。1社の数字を業界の相場だと思い込まないほうがよさそうでした。
出典:金融先物取引業協会「店頭FX月次速報」2026年7月分(2026年8月27日取得)。
チャート画像をAIに読ませたら、最初に本数でズレた
AIに画像を読ませるとき、読み取りの上限と苦手な領域は、各社の公式ドキュメントに数値で書かれています。私はそれを読まずに使っていました。
Anthropicが公開しているClaudeの画像入力のページによると、Claudeは画像を28×28ピクセルのかたまりに区切って見ています。標準の解像度では、長辺が1568ピクセルまで縮められる。対応形式はJPEG・PNG・GIF・WebPの4つ。claude.aiでは1メッセージにつき20枚まで、1枚あたり10MBまで、寸法は8000×8000ピクセルまでと明記されています。
そして同じページの限界の項目に、物の個数はおおよそでしか答えられず、小さな対象が大量にあるときはとくに正確さを欠く、という趣旨が書かれていました。200ピクセルを下回るような小さい画像では誤りが出やすい、とも。
ローソク足のスクリーンショットは、まさに小さな対象が大量に並んだ画像です。何本あるかを数えさせるのは、公式が苦手だと書いている使い方でした。私は「この画面に何本ありますか」から入って、答えを疑いもしなかった。
ChatGPTやGeminiでも画像は送れますが、枚数や寸法の上限、縮小のされ方は各社で違います。自分が使っているツールのページを開けば、だいたい数値で書いてあります。
25倍の出どころ
個人のFX口座で言われるレバレッジ25倍は、証拠金率の裏返しです。業界の自主規制機関が公開している規制のページには、2010年8月1日から取引金額の2%以上、2011年8月1日以降は4%以上の証拠金を預かることが業者に義務づけられた、と書かれていました。4%の逆数が25倍。ロスカット・ルールを整備して守ることも、2010年2月1日から義務になっています。
出典:金融先物取引業協会「FX取引の規制について」(2026年8月27日取得)。
税率は、AIではなく国税庁のページで確かめる
FXの利益は、給与とは別枠の「先物取引に係る雑所得等」として申告分離課税で計算します。税率の内訳は、国税庁のタックスアンサーNo.1521にそのまま載っていました。
| 区分 | 国税庁ページの記載 |
|---|---|
| 所得税 | 15% |
| 復興特別所得税 | その年分の基準所得税額の2.1% |
| 住民税 | 5% |
| 損失の繰越 | 翌年以後3年内の各年分の「先物取引に係る雑所得等」の金額から控除 |
次に読むなら
税率の話は、実際に申告する段になると条件のほうが効いてきます。損失の繰越には満たすべき条件があり、給与所得者の20万円ルールにも例外があります。そこはFXの利益にかかる税金と確定申告の基本で、国税庁の記載を追いながら整理しました。
まとめ|チャートは読めても、数字の出どころは自分で開く
私のFXはいまもデモ口座だけで、リアルなお金は入れていません。動かしているのは2021年に月1,000円で始めたつみたてのほうです。いまは月5万円で、元本が約158万円、評価額が約212万円。2022年のインフレ局面では、評価額がマイナス4万円まで沈んだ月もありました。この5年で身についたのは、相場を当てる力ではなく、月1回だけ画面を開く習慣のほうでした。
今回いちばん効いたのは、AIの答えを疑うことではありませんでした。AIを作っている側が公開している限界のページを読むことです。苦手なことは、たいてい向こうが先に書いている。
仕組みの理解はAI、事実確認は一次情報。この線引きでやってきましたが、どこまでをAIに渡していいのかは、まだ決めきれていません。画像を読ませる用途は今回で線が引けた一方、チャートの状況を言葉にしてもらう使い方は、便利すぎて依存しかけている自覚があります。ここは、もう少し使ってから書き直すことになりそうです。
本記事はAIツールを活用した学習方法およびFX・投資に関する情報提供を目的としたものであり、特定の取引・手法・サービスを推奨するものではありません。AIツールの出力には誤りや古い情報が含まれることがあり、投資判断をAIに委ねることは推奨しません。FXは為替相場の変動により損失が生じるおそれがあり、預けた証拠金を上回る損失が生じる可能性があります(元本保証はありません)。スプレッド・レート・税制はいずれも変動または改正されます。掲載内容は執筆時点(2026年8月27日)の情報です。最終的な投資判断はご自身の責任で行ってください。
出典
- 欧州中央銀行の日次参照レート(1ドル=159.07円・1ユーロ=185.62円/2026年8月26日、1ドル=162.41円/2026年7月9日)https://api.frankfurter.dev/v1/latest?base=USD&symbols=JPY,EUR(ECB公表値を配信。2026年8月27日取得)。差の3.34円と「26円以上」は、本文に示した2つの公表値からの引き算です
- GMOクリック証券「スプレッド・取引手数料|FXネオ」(米ドル/円 0.2銭・3.8銭/ユーロ/円 0.4銭・9.8銭/ユーロ/米ドル 0.3pips・3.8pips/取引手数料0円/但し書きの記載)https://www.click-sec.com/corp/guide/fxneo/commission_list/(2026年8月27日取得)。19倍・24.5倍は公表された2値の割り算です
- Anthropic「Vision」公式ドキュメント(28×28ピクセル/長辺1568ピクセル/JPEG・PNG・GIF・WebP/1メッセージ20枚・1枚10MB・8000×8000ピクセル/個数は概算・小さい画像で誤りやすい)https://platform.claude.com/docs/en/build-with-claude/vision(2026年8月27日取得。英語原文を日本語で要約したもので、逐語訳ではありません)
- 金融先物取引業協会「店頭FX月次速報」2026年7月分(出来高8,820,768億円/報告会員46社)https://www.ffaj.or.jp/library/performance/fx_flash/(2026年8月27日取得)
- 金融先物取引業協会「FX取引の規制について」(2010年8月1日から2%以上/2011年8月1日以降4%以上/2010年2月1日からロスカット・ルールの整備と遵守が義務)https://www.ffaj.or.jp/regulation/(2026年8月27日取得)。25倍は4%の逆数です
- 国税庁 タックスアンサー No.1521「外国為替証拠金取引(FX)の課税関係」(先物取引に係る雑所得等/申告分離課税/所得税15%/復興特別所得税は基準所得税額の2.1%/住民税5%/翌年以後3年内)https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1521.htm(2026年8月27日取得)。合計税率は同ページに記載がないため、本文には書いていません